満月の夢の魔法⑩

_______________ ジリリリリリリリリリリ_______________。 ジリリ──カチッ。 「ん、」 プラスとマイナスだよね。 分身の──。 よし!今日からやってみる! 「さ!下に降りて、お母さんに伝えよう! また、キミに会う時を楽しみに待ってるね」 私はそう言って勢いよくベッドから起き、下に降りて、お母さんに伝えた。 そして、身支度を整えて外へ出た──。 “(ああ、良かった。 キミが笑顔でいてくれて、楽しそうにしてくれて──。 本当に良かった──。 でも、次かな。 キミがあの時を思い出すのも。 だけど、今のキミなら大丈夫。 ここまで乗り越えてきたから。 カギが開くのも、魔法が解ける日も近づいているよ。 だから、私はキミを信じているよ。 結夢──)” _______________ 「夜月さん!このプリント、職員室に後で持ってきてくれない?」 「分かりました!」 「ごめんね!ありがとう。 先生の机の上に置いといて!」 「はーい」 今は2時間目の国語の授業が授業が終わったところ。 私は国語係で、国語の先生に授業でやったプリントを運ぶように言われた。 早速、私は先生に頼まれたプリントを届けるために、プリントがある机に向かった。 おっ。 このプリントだな。 何気に多いな。 2回に分けるかな。 「「結夢ー! 私たちも手伝うー!」」 私がそう思っていたところに、咲月と星花がそう言いながら私の所へ来た。 「ほんと!? ごめん、手伝ってくれると助かる! 手伝ってもらっていいかな?」 いつもは丁寧に断るところを、素直に人に頼る分身のプラスを使おうと思い、私は頼ってみた。 初めて人に頼ったため、反応が怖かったが、咲月と星花は──。 「やったー! 結夢が頼ってくれた!!」 「すごい嬉しい!! もちろん、手伝うよ! 私達から手伝うって言ったから!! だから結夢、もっと私達の事頼って?」 「うん!頼って頼って!! すごい嬉しい!!」 そう言ってくれた 「! ありがとう! じゃあ、このプリント一緒に職員室まで運んでくれないかな?」 「「もちろん!!」」 「ありがとう」 私は心からのお礼を言った。 そして、私達は喋りながら職員室までの道のりを歩いた。 私は、頼ることも大切なんだと、頼ることのプラスを使ってよかったと咲月と星花と歩きながら思った。 これからも、素直と頼るのプラスを使いたいと思った──。 _______________ 午後9時半──。 私は今から寝るところ。 咲月と星花にプラスに頼ってみて、頼ることの大切さ、素直になる大切さを知れた。 その後も、周りを見れるプラスの意味や、周りを気にするプラスの意味も知れた。 周りをずっと気にするのではなく、話を聞く時など、場所によって使い分けるというのを知れた。 「良かった」 良いところを知れて、意味が分かって本当に良かった── 「もっと心が楽になった。 楽しくなった。 キミに感謝だね。 ありがとう──」 心からキミにお礼を言って、私は眠りに落ちた──。 “(ああ、キミが人に頼ることが出来て、頼ることの大切さを知れて本当に良かった。 キミの心がもっと軽くなって、楽しくなって本当に良かった──。 あの時、たとえできかったとしてもキミは大丈夫。 今、出来てるから。 今、乗り越えているから。 今、自分を変えているから。 過去を知ってもキミは大丈夫。 今のキミはここにいるから──。 結夢、もう少しでキミは分かるよ。 魔法の理由が、忘れていた何かが。 次の満月の日にね──。 私は信じているよ。 結夢──)” _______________ 時は経ち、もう夏休みも終わる8月末。 今日は満月の日。 だから、キミに伝えるんだ。 分身のいい所を使うと、心が楽で、綺麗になった感じがするって。 ありがとうって。 そう思いながら私は、夢の中へ落ちた──。 _______________ “会えて嬉しいよ” 『うん!私も! あと、私、キミに伝えたいことがあるんだ』 “なに?” 『ありがとう!』 “・・・・・・え?” 『キミのおかげて、私、頼ることの大切さを知れた! 素直になる大切さを知れた! それと、周りを気にする事のプラスの意味も知れた! それで、すごく心が楽になったし、綺麗になった! だから、ありがとう!!』 “・・・・・・ありがとうは私のセリフだよ” 『え? 何か言った?』 “・・・ううん、なんでもない。 そう言ってくれて嬉しかったんだ。 良かったね、楽になって” 『うん!!良かった!』 “よし、それじゃあ、報告も聞いたから、5つ目の大切なことを言うね。 今回は、今までとは少し違うよ” 『今回は少し違うの?』 “うん、でもキミなら大丈夫。 私はキミは大丈夫だって信じているよ。 キミは5つ目の大切な事を聞きたい?” 『もちろん、聞くよ! せっかくキミが私を信じてくれてるから! 私も私を信じたいから。 だから聞くよ!』 “──分かった。 それじゃあ、5つ目の大切なことを言うね” 『うん!』 “5つ目の大切なこと、それは──。 キミの過去、だよ” 『・・・私の?』 “うん、そう。 キミの過去。 キミは忘れている記憶はない? 思い出せない記憶はない?” 『忘れている?思い出せない?』 “じゃあ、私の質問に答えて?” 『うん』 “キミは──。 幼稚園生の頃、楽しかった?” 『・・・え? 幼稚園? その時は──。 覚えて、ない──。 思い出せない──』 “──人は本当に辛い記憶は消してしまうんだ” 『本当に辛い記憶・・・?』 “そう、自分自身にとって本当に辛い記憶” 『じゃあ私は、幼稚園生の頃、辛い何かがあったの?』 “・・・そうだね” 『でも、それが大切なことなんだよね』 “うん・・・ ──キミは思い出したい? 幼稚園生の頃の記憶を” 『私は──思い出したい。 幼稚園生の頃の私に何があったのか知りたい。 幼稚園生の頃にあった事で、何かが分かる気がするから。 ごめん、これはほんとに私の直感だけど──』 “(ほんとに、キミの勘は凄いね) ・・・そっか。 大丈夫だよ。 今のキミはここにいるから。 何があってもキミはここにいるから──。 過去があったら未来がある。 キミの未来は輝いてるよ。 キミが忘れている記憶も、キミの力で思い出せるよ。 今のキミは出来るよ” 『・・・!』 “? どうしたの? 驚いた顔で黙っちゃって” 『・・・キミのその言葉、どこかで聞いたことがある気がして──』 “(!) ・・・そうだったんだね。 ──それじゃあ、私はそろそろ行くね。 あっ、さっき私が言った言葉、絶対に忘れないで。 今のキミはここにいるって言葉──。 それじゃあ、またね。 次会う時、報告してね。 またね──” _______________ 「ん、 私の、過去・・・」 幼稚園生の頃、私に何があったんだろう。 なんだか幼稚園の事を考えると、心が暖かくある反面、冷たくなる。 んー。 それに、あの時のキミの言葉・・・。 どこで聞いたんだっけ──。 今日から夏休みのため、下には降りず、ベッドの上に座って考えた。 “(もうすぐだね。 キミがあの時を思い出すのも──。 もしかしたら、私のことにも気づいちゃうかな。 ま、それはないかな。 幼稚園の頃に私とキミが会ったことがあっても、1回だけだし。 それに──今、私は夢の中で1度もキミに顔を見せてないからね。 たとえ私がずっとキミを覚えていても、キミは、幼稚園の頃に会ったあの子と私が同一人物なんて、思わないだろうから。 あの頃を思い出したら、キミは分かるよ。 今まで人を頼らず、素直になれなかった理由が──。 結夢──)” _______________ 「うーん、幼稚園の頃ねー」 あれから、私は考えても分からないため、下に降りてお母さんに夢の中のキミの話を伝えた。 お父さんとお姉ちゃんは仕事で私が下に降りたと同時に家を出た。 私は、夢の中のキミの話をお母さんに全て伝えた後、お母さんと朝ご飯を食べた。 朝ご飯を食べた後は、いつでも出かけられるように身支度を整え、幼稚園の頃を考えるため自分の部屋に入った。 そして今に至る。 「んー、幼稚園の頃を思い出したいんだよなー。 あっ!そしたら、私が通っていた幼稚園を見たら何か思い出すかもしれない! 今は9時52分! 今家を出て走れば10時には着く! それに明日も夏休みだから学校は休み! よし!そしたら行動するまで!」 私はそう言った同時に自分の部屋を勢い良く飛び出した。 「お母さん、行ってきます!!」 「ちょっ!結夢、どこ行くの!? そんな慌てて!」 「ちょっと、幼稚園の方まで! どうしても、行きたいから! お昼までには帰ってくるから! じゃ!!行ってきます!!」 バタン! その時には、私は外へ出て幼稚園に向かって走っていたから知らなかった。 「幼稚園に行きたいなんて急ね・・・。 でも、あの子が自分からどこかへ行きたいなんて、今まで言ったことあったかしら? あっ!1回あったわね。 たしかあの子が幼稚園の頃──。」 お母さんが言っていた言葉を──。 _______________ 「はあっ!着いた! 私が通っていた幼稚園!」 10分程走り続け、私は幼稚園に着いた。 「うーん。 これといって思い出すのはないかなー」 私が幼稚園に見ながら思い出すヒントを探していたその時──。 「あらっ、結夢ちゃんじゃない!」 誰かに話しかけられた この声は──。 「先生!」 そう、私に話しかけてきた人は私が年中の時のクラスの先生。 「久しぶりねー。 大きくなったねー。 いくつになったの!?」 「お久しぶりです!! 13です!」 フレンドリーな人だなー。 「じゃあ、中学生!」 「そうです! 中2です!」 「あら~。 もう、そんな大きくなったのねー。 今、学校は夏休み?」 「はい!そうです!」 「そっかー! あっ、じゃあ、もしかして何処かに行く途中?」 「いえ、私は幼稚園の時どんなだったかなーって思って幼稚園を見に来たんです」 「そうだったの。 でも、結夢ちゃんの幼稚園の頃かー。 私から見た結夢ちゃんは優しい子だったな~」 「優しい?」 「そう! 1人の子がいたら、声をかけて一緒にいてくれたし、クレヨンを忘れた子に自分のクレヨンを一緒に使おうって言って、貸してあげたり・・・。 だから、先生は無理してるんじゃないかって思ってたのよ。 周りを見すぎて自分の事は後回しにしてたから。 自分が壊れちゃうんじゃないかってね」 「・・・そうだったんですか。 ──話して下さってありがとうございます!! それと、幼稚園の私の事も心配して下さって、ありがとうございます!」 「いいのよ~! 私は結夢ちゃんが元気だったら嬉しいの! 今も変わらず優しいのね。 今は平気なの? 無理してない?」 「無理してません! 今は良い友達に会って、色々なことを教えて貰ったので、すごく楽です!」 「そう、なら良かった! あら、結構話してたね。 もう、11時! 結夢ちゃんはまだ幼稚園見ていく?」 「いえ!大丈夫です! 私もそろそろ家に帰ります」 「分かった! またいつ来てもいいからね。 来た時には先生にも声掛けてくれると嬉しいなー。 じゃあ、気を付けて帰ってね! さよなら~」 「はい! 今日はありがとうございました! さよなら~!」 なんだか、色々なこと聞けたな。 先生、いい人だった。 さっ!家に帰ろう! 私はそう思いながら家に帰った──。 _______________ 「ただいま~」 そんな言葉と共に私は家の中に入った。 「おかえり、結夢。 早かったのね」 「うん、幼稚園に行ったら年中の時のクラスの先生と会って、喋ってきただけだから」 私はお母さんの質問に先生との会話を思い出しながらそう答えた。 「そう・・・。 結夢、お母さん嬉しかったの」 「? 急にどうしたの? 何が嬉しかったの?」 思い当たる節がない。 「結夢が自分からどこかに行くって言った事が嬉しかったの」 微笑みながら言うお母さん。 「結夢が自分の本音を言う事ってなかなか無いからね。 今日が2回目よ」 「2回目?」 私の記憶には無いけど・・・。 「うん、そう。 まあ、初めて結夢が本家を言ったのは幼稚園の頃だから覚えてなくても仕方ないけど」 「幼稚園の頃に?」 「そうよ。 結夢がいつも通り幼稚園バスで家に帰ってきて、リビングに入って来たと思ったら、外で遊んでくる!って言って、カバンをリビングの床に置いて勢いよく部屋を飛び出したのよ。 慌てて結夢を追いかけて、お母さんも一緒に行こうかって言ったんだけど、1人で遊んでくる!17時には帰るからって言って、外に出たのよ。 あの時、お母さんびっくりわ。 でも、それ以上に嬉しかったの」 「嬉しかったの?」 「うん、嬉しかった。 結夢が自分の本音を言う事は無かったのに言ってくれたから。 あれから結夢が自分の本音を言う事は無かったけど、今言ってくれたから」 「そっか・・・」 私はお母さんの話を聞いて、それしか返事が出来なかった。 お母さんは覚えてなくても仕方ないって言ったけど、私の場合は、覚えていない理由がある事を知っているから──。 覚えていない理由を知りたいから──。 でも、1つだけ知れた。 私は幼稚園の頃の話を聞いて、とても心が暖かくなったこと──。 その後も、お母さんと色々な話をした──。 _______________ 「おやすみ~」 1日はあっという間で、現在の時刻は午後10時。 夏休みのため、いつもより少し遅い時間に部屋に戻った。 「ふあ~」 明日も夏休みで休み! 今日は幼稚園の先生とお母さんから、色々な事を聞けたな。 それにしても、お母さんが言っていた事が気になるなー。 私が幼稚園の時に、初めて自分から本音を言ったんだよね・・・。 幼稚園、か──。 幼稚園の私はどんなだったんだろう──。 何だかそこに隠されている何かがありそう──。 私はそう考えながら眠りに落ちた──。 _______________ 「先生!さようなら!」 え。 あれ、私? 「はい、さようなら。 また明日ね、結夢ちゃん」 え。 年中の時の先生? 私が幼稚園に通う時に使ってた幼稚園バス? 今、私は中学生だよね? それなのに、どうして幼稚園の私がいるの? でも、今の私は第三者として見ているみたい。 ていう事は、これは夢? ──ああ、違う。 これは夢じゃなくて、私の幼稚園の時の記憶だ──。 ブロロロロ・・・。 「よしっ!いえの中にはいろ──」 「──わーん!うわーん!」 小さい私(幼稚園の私)が家の中に入ろうとした時、女の子の泣き声が聞こえた。 「なき声?」 小さい私は泣き声が聞こえる方を見た。 「! どうしたの!?」 そこには、小さい私と同い年くらいの女の子が道の端でしゃがみこんでいた。 小さい私はその女の子に駆け寄る。 え? あの女の子、私、知ってる──。 でも、誰なのか思い出せない──。 「何かあったの? だいじょうぶ? あっ!ちょっとまっててね! 今、お母さん呼んでく──!」 「呼ばないで!」 泣いている女の子は、そう言って私を止める。 「? どうして?」 「それは・・・」 「・・・わかった! お母さんのこと、呼ばないから、カバンだけおいてきていい?」 泣いている女の子が言いにくそうにしたため、小さい私はそれ以上聞くのをやめた。 「え?うん・・・」 「ありがとう! ちょっとまっててね!」 そう言った私は、泣いている女の子に背を向け、走って家の中に入った。 「お母さん!ただいま!」 〈コメント〉 こんにちは、カナリヤです。 ここまで読んで頂きありがとうございます。 ここからは、前回と同様、私のコメントを書かさせて頂きます。 私は、施設に通い始めて、約2ヶ月が経ちました。 今までの私は、素を出すことが怖く、いつも人に気を使ってばかりで、心が疲れていました。 “素を出すことは怖くない。” “素の私で生活したい。” “素の私を知って欲しい。” “自分の素を出せば心は楽になる。” そう思い、何度も何度も”素の自分”を出すことを心がけましたが、どうしても素を出すことが怖くて、いつも失敗していました。 ですが今通っている施設では、”今までのように失敗したくない” “もう同じ事を繰り返したくない”そう思い、素を出して行きました。 初めは緊張の連発でしたが、”相手が何を思っても、私の素を見せなかったら意味が無い”それを糧に、私は素を出して過ごしました。 そのおかげで今は、全く心の疲れを感じず、軽い心で施設に通えています。 素を出せないのは苦しくて、周りに人がいるのにまるで1人になったような感覚でした。 味方が1人もいないように思いました。 ですが、私が素を出さないかぎり、味方は出来ないと、いつまで経っても1人のような錯覚に陥ったままだと思いました。 “素”と言うとても小さいものかもしれませんが、その小さいものから色々な事に気づくことが出来ました。 私はその事に感謝し、これからも”素”を出して生きていきます。 最後に、私のコメントまで読んで頂きありがとうございました。 長文になってしまい、申し訳ありませんでした。

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